アグー豚について

琉球在来種アグーとの出会い

2006年 名護市源河の山奥にある一件の豚舎にて、琉球在来種アグー豚を育てるある生産者とお会いした(生産者は故人の為名前は控えさせていただきます)

頑固者だが、アグー豚の交配技術は一流であり、飼育するアグー豚はオス、メスともにその血統は高く、純粋にかなり近いアグー豚を数多く育てていた。
冒頭の写真もその内の一頭だが、毛並みや体格もよく、多くの子豚を産む純血種に近いアグー豚(雌豚)である。

アグー豚は血統を維持する為、戻し交配という技術を使うが、俗にいう近親相姦であるが故、奇形の子豚が生まれることも多々あり、アグー豚の血統を高い水準(純血種に近い状態)で維持するのはかなり難しかったらしい。しかし、幾度となく交配、繁殖を繰り返していくうちに交配の技術を高め、産まれてくる子豚は毛並みも黒く、純血種に近いアグー豚そのものであった。

しかし、産まれてくる頭数が少ない故その価値は高く、まだ全国的にアグー豚ブームになる前だったため、販売には苦労し豚舎の維持はとても大変なものだったと聞いている。

その生産者が育てる純血種に近いアグー豚(種豚)を求め、当時は県内各地から引き合いも多く、その際に渡ったアグー豚が多くの時間が経過した現在、県内のアグー生産を支えているのではと考える。

当時は血統に関する明確な基準も確立されていなかったため、この豚舎で生まれたアグー豚については独自で系統を細かく管理していたが、亡くなられた現在ではエビデンスのとれない話である。(一部当時のアグー豚の血統証明書は残っているが、もちろん飼育する殆どが純血種に近いアグー豚だった)

我々は2006年に生産者に出会い、アグー豚の魅力とその価値を見出して販売を始めた一人である。
その際に商標登録したのが「沖縄県産 琉球在来黒豚アグー でいご黒豚(商願:5104890号)」である。

命名になった「でいご」は沖縄の県花であり、「黒豚」はアグー豚が他の豚と違い黒毛の豚だったことが関係している。

2006年12月に申請、2008年1月に登録された商標を用いてアグー豚肉の販売を行った企業として先駆けであると自負している。
その生産者のアグー豚はそれこそ獣のような体格であるが、アグー豚の肉質はとても柔らかく、特徴ともいえる脂味は群を抜いて旨かったため、豚肉を求める声は県内外から多く届いた。

しかしその後、特許庁の審査をとおった「黒豚」の定義&表示が、バークシャー純粋種のみと知ったため、我々は商標登録した「でいご黒豚」を使用しアグー豚を販売することを止めていた。

あれから12年が経ち、当時の生産者及びそれを知る方々とスタートしたアグー豚の販売において、これまでの歴史を改めて振り返り、故人となった今でも、当時の種豚から繋がる血統を大事に守り、独自の技術で育て上げている生産者のアグー豚の販売を再開することにした。

現在県内各地で多くの生産者が独自の技術でアグー豚を育て販売しているが、我々はこれまでの歴史を知ってもらい、その生産者から繋がるアグー豚が持つ確かな旨味を食して頂きたく厳選した部位でつくる豚肉のセットと究極のレシピをお届け致します。